出生時の体重が平均よりかなり多い赤ちゃんは、その後成人したときに、過重労働をしたときでも、しっかり妊娠しやすいが、平均をかなり下回る場合には、妊娠しにくくなるということです。第四は、過重な身体労働は生殖力を損なうという点です。都市部に住んでオフィスワークをしている女性と農村部に住んで農業に従事している女性の比較では、都市部に住む女性の方が、生殖力が高いということです。ここでいう農業従事者の女性とは、日本のような機械化が進んでいる場所での農民ではなくて、ポーランドの片田舎で、手作業で作物をつくっているような重労働をしている人たちでした。この人たちから毎日唾液を採取して、その中に含まれる妊娠にかかわるプロゲステロン(生体内で黄体ホルモンとして働いているホルモン)が性周期においてどのように変化していくのかを測定したところ、農家で働く女性(工事現場で働く女性、過度のエアロビクスをする女性、陸上やマラソンなどのプロスポーツ選手も同じ)は、身体活動を通じたエネルギー負荷が加重にかかるため、プロゲステロンの量が少なくなっていることがわかりました。プロゲステロンは妊娠を維持したりする役目を負っているので、このホルモンの量が減るということは生殖力に影響を与えるということになります。多大なエネルギー負荷がかかるような仕事についていない、サービス産業に従事している女性の方が生殖力が高く、妊娠の可能性の面からいえば、 3倍も違いがありました。ときどき評論家が昔の女性はアマゾネスのようだったとか、女性が狩猟に出ていてたくましかったといっているのを聞きますが、それはまちがいです。性淘汰の面からは、女性はエネルギー負荷のかかる仕事をしない方がよいのであって、女性にエネルギー負荷を強いるような社会が長続きしたとは理論的には考えられません。

女性における生殖力は、性交によって妊娠する能力と規定しましたが、男性の場合の生殖力は、精子の質ということになります。精子の質は、通常(国連WHOの定義によれば)、・1回の射精で出る精子数・精子の泳ぐ速度・精子の移動能力の3点で評価されます。一度の性行為で約 億個の精子が射精されます。たとえば 2億個と 5億個では 2. 5倍もの生殖力の違いがあります。ですから数は多ければ多いほどよいということになります。また量ばかりでなく、泳ぐ速度や逆流に抗して直進する能力も大事です。女性の子宮の中は障害物だらけですので、それらを上手に避けて卵子に向かって進んでいかなければなりません。

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